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「世界の船旅」スタッフこぼれ話 - 2016年3月号


雑誌「クルーズ」に好評連載中の「世界の船旅」CRUISE誌上放映。
2016年1月27日発売の2016年3月号に掲載された内容をご紹介します。

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第200話 ワット・プー
東南アジアの原風景を巡る メコン川クルーズ

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刻々と景色が変わるメコン川。歴史を伝える世界遺産。どこか懐かしさを感じさせる東南アジアの文化。黒を基調にしたシックな木造船「ワット・プー」で絶景を訪ねます。いま静かな人気を集めるメコン川クルーズの魅力に迫ります。

「自然と共存するクルーズ」

koborebanashi_2016_03-200_03今回取材した客船「ワット・プー」で印象的だったのは操舵室の位置です。オープンデッキの中央に何の仕切りもなく、舵輪や操船のための機械が設置されているのです。そこは風が吹き抜けるパブリックスペースで、常に乗客たちがくつろいでいる場所。船長は寝転んだりお茶を飲んだりしている乗客たちを眺めながら、船を動かしていきます。「スコールの時にはどうするのだろう」と思っていたら、クルーが状況に合わせてオープンデッキを囲うように設けられた薄いカーテンを下ろし、雨を防いでいきます。これは強い日差しや雨を防ぎながら風通しを良くする東南アジアの住宅でよく見られる方法です。

koborebanashi_2016_03-200_02そして、最も驚いたのは最初の寄港地チャンパサックに近づいたときのこと。迫る港を撮影しようとデッキでカメラを構えていたのですが、桟橋が見当たりません。それでも船は岸辺に近づいていきます。乗客たちも、岸辺と操船する船長の顔を見比べ、少し不安な表情を浮かべていました。

koborebanashi_2016_03-200_04船が岸に触れそうなほど近づくと、一人のクルーがロープを持って岸へと飛び降りたのです。彼は慣れた手つきで大木にロープをくくり付け、船を固定しました。なんと草の生えた斜面がそのまま桟橋代わりなのです。乗客たちは船から降ろされた簡易な階段で上陸します。まさに自然に寄り添う船旅。大自然がすぐそこにある、ということを実感する旅でした。

第170話 プライド・オブ・アメリカ
気軽なアメリカンシップで巡る太陽と神秘と音楽の島 ハワイ諸島クルーズ

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船内はまるでアメリカをイメージしたテーマパーク。ワールドワイドな8つのレストランや、ドレスコードなしのカジュアルさ
がファミリーに人気の船です。キラウエア火山やフラダンスなど、彩り豊かなハワイクルーズを紹介します。

「ダイナミックなハグ」

koborebanashi_2016_03-170_04この船は乗客のほとんどがアメリカ人。イベントやショーでの盛り上がりは大変なものでした。クルーは陽気に声を掛けてくれ、乗客たちは気軽に笑顔を向けてくれるので、楽しさが伝わる映像がたくさん撮れました。そんな中に私より一回り大きい体格のハワイの女性客がいました。私たちを気に入ったらしく、「どこから来たの?」「日本は良いところだってね」などと船や寄港地で会うたびに話しかけてくれました。

koborebanashi_2016_03-170_03やがて最後の夜、船内の盛り上がりが最高潮に達したときのこと。興奮する乗客たちを撮ろうとパーティー会場でカメラを構えていると、その女性客が私たちを見つけ、小走りで近寄ってきました。少しお酒も入っているようで、陽気さは普段の倍以上。英語で何かを話しているのですが、早口で全く聞き取れません。すると、輝くような笑顔で、力いっぱい私をハグしてきたのです。「私には妻も子供もいますから」と言おうとした瞬間、熱烈なキスをされました。そして満面の笑顔を浮かべて群集の中に消えていったのです。

koborebanashi_2016_03-170_02一瞬の出来事に呆然とする私の横でスタッフが「アメリカ式のよくあるあいさつですよ」と言いながら必死に笑いをこらえていました。会場がさらに盛り上がってきたので、頬についたキスマークをぬぐうのも忘れ撮影を続けましたが、あまりに強烈な「あいさつ」に圧倒された夜でした。

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