「世界の船旅」スタッフこぼれ話 - 2020年6月号


雑誌「クルーズ」に好評連載中の「世界の船旅」CRUISE誌上放映。

2020年4月27日発売号に掲載された内容をご紹介します。

第368話 アローサ・リヴァ
母なる大河を巡るドナウ川リバークルーズ
ブルガリア、ハンガリー、チェコ

船名:コスタマジカ (コスタクルーズ) 総トン数:10万2587トン

船名:アローサ・リヴァ
(アローサ・クルーズ)
総トン数:3,550トン

ブルガリアの岩窟教会群やブダペストのセーチェニ温泉、バッハウ渓谷、だまし絵の街チェスキー・クルムロフなどをめぐるリバークルーズ。おいしい料理を味わいながら、川辺の風景を堪能できる魅力的なドナウ川の旅を紹介します。

バラがバラに出会う日

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船首に描かれているのはなんと、真っ赤なバラを加えた唇。船内もその外観に負けない華やかさと豪華さを兼ね備えていました。サウナまである無料のスパやテラスのあるレストランなど設備が充実。航路紹介図や寄港地の案内がとても丁寧で、さすが真面目なドイツの船という印象です。
リバークルーズの魅力は何といっても船から眺める絶景。私たちは早朝からデッキに出て、朝日や崖の上にそびえたつ古城を撮影しました。

ブルガリアのルセ港に近づいていた時のことです。同じように撮影の準備をしていると、「今日はバラがバラに出会う日だね」と一人の紳士が話しかけてきたのです。そしてその言葉の意味を尋ねる暇もなく、彼は微笑みながら去っていきました。クルーにその話をすると「すぐにわかるよ」と言って教えてくれません。
仕方なくそのまま船を降りて撮影に向かったのですが、たしかにその意味はすぐに分かりました。街には花売りが多く、たくさんのバラが咲いていたのです。実は世界中の香水の約80%がブルガリア産の香り高いバラを使っているそう。
あの紳士は「ヨーロッパ有数のバラの産地に入港する」というようなありきたりな言い方ではなく「バラがバラに出会う」と船に描かれた絵にかけて教えてくれたのです。そのセンスの良さに改めて感服したのでした。

第356話
セブンシーズエクスプローラー
ゴージャスな客船で巡る憧れの地中海とゴッホの愛した町
スペイン、フランス、イタリア

船名:コスタマジカ (コスタクルーズ) 総トン数:10万2587トン

船名:セブンシーズエクスプローラー
(リージェントセブンシーズクルーズ)
総トン数:5万5254トン

食事はもちろん、アルコールやチップ、寄港地観光まで含めたオールインクルーシブの客船で、建築家ガウディゆかりの大聖堂やゴッホが絵のモチーフにした跳ね橋、ルネサンス発祥の地フィレンツェなどをめぐる地中海クルーズです。

リクエストは船を育てる

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客船史上最高のスペース・レイシオを実現、つまり船の大きさに対する乗客一人あたりのスペースが最大値であるということ。確かに船内はゆとりある造りでした。プライベート・バルコニーと特注の家具を備えた全室スイートの客室や、まるで海とつながっているようにも思えるプール、料理学校にも負けない本格的な体験イベント用のキッチンなど設備も高級感があります。

そのゴージャスな船内を連日撮影していると気になるご婦人がいました。軽く会釈すると優しい笑顔で応えてくれる感じの良い女性なのですが、ダイニングではメニューにない料理をいくつも注文したり、スパやレセプションカウンターでも難しいリクエストを出しているようなのです。その都度スタッフは他の部署に連絡して代替案を提案するなどさまざまな対応に追われていました。
「大変ですね」と後でスタッフに聞いてみると「いや、全然」と動じていません。「お客様からのリクエストには、どうしても対応できないものが必ずいくつかあるんだよ。でもその時お断りしたものも数年後にはできるようになったりする。難しい注文が船を良くしていくんだ」と笑って答えてくれました。
帰国後「難しいリクエストが人を鍛えるんですね」と話すと、デスクはにやりと笑い「じゃあこれ、明日までに整理してね」と言って、取材でかかった経費の領収書の束を目の前に並べたのでした。

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