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「世界の船旅」スタッフこぼれ話 - 2017年1月号


雑誌「クルーズ」に好評連載中の「世界の船旅」CRUISE誌上放映。
2016年9月27日発売の2016年11月号に掲載された内容をご紹介します。

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第239話 にっぽん丸
にっぽん丸 沖縄の離島と美食の旅

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沖縄近海の個性豊かな離島をめぐる2本のクルーズを紹介。日本最大規模のマングローブ林や鍾乳洞、ケラマブルーといわれる美しい海など、癒やしの風景とあたたかな笑顔が待つ南の島々を美食の船「にっぽん丸」でめぐります。

「沖縄時間」


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寄せては返す美しい海。船上で披露される琉球民謡。島の人々のおおらかな笑顔。撮影スタッフは沖縄ののんびりした雰囲気にいつしか取り込まれていったのです。

koborebanashi_2017_01_239_03西表島から由布島に渡る水牛車の上で「あなたも沖縄時間に魅入られているわね」と乗客の方に言われ、ハッと気が付きました。通常は移動中でも次の撮影ポイントのことを考え、分刻みで段取りを考えて動くのですが、心地よい揺れに身を任せていたためか、いつの間にか居眠りしそうになっていたのでした。

koborebanashi_2017_01_239_04しかし、楽園のような時間は長くは続きません。南大東島に到着した途端、天候が急変。海が荒れるということで出港予定時刻が2時間早くなったのです。撮影に使える時間は4時間弱。余裕をもって作ったはずの撮影スケジュールを大急ぎでこなすことになってしまいました。それでも経験上、これくらいの時間で島を回るのは難しくないと思ったのですが、この日はなぜか上手く進みません。撮影や交渉に手間取り、時間だけが過ぎていきます。結局時間切れになってしまい、最後に予定していた島特産のラム酒の酒蔵は残念ながら撮影を断念して船に帰りました。

「やはり沖縄時間に取り込まれたのかな」と強く反省。遠ざかる南大東島を名残惜しそうに眺めていると、カメラマンが近づいてきてこう言ってくれたのです。「過去を振り返らないのも沖縄時間の過ごし方だよ」。

第237話 モナーク
ヨーロッパの港町を食べ歩き! お手軽グルメ旅

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カジュアル・クラスでは珍しいオール・インクルーシブ制のスペイン客船です。新鮮なシーフード、世界で最も美しいといわれるリーズ城、世界遺産のビスカヤ橋など大西洋沿岸の魅力を、スペイン流のもてなしが詰まった客船で訪ねます。

「クルーズの落とし穴」


koborebanashi_2017_01_237_02港では「アメリカ人は、のんびり周りを見ながら遅れて乗船。ドイツ人は急ぎ足で時間通り。日本人は10分前に乗っている」というジョークがあるほど、日本人は時間に正確な民族として知られています。今回の取材でもスタッフに細かくスケジュールを尋ねるため「やっぱり日本人だね」と感心されました。

koborebanashi_2017_01_237_03ところが、アムステルダムで撮影を終えて帰る際、市内の大渋滞に巻き込まれ、帰船予定時間を大幅に過ぎてしまったのです。桟橋に着いたのはまさに船が岸から離れた瞬間。どうすることもできずに船を見送りました。桟橋に取り残された私は、少しの現金とパスポートしか持っていませんでした。客室に荷物を置いたまま出かけられるクルーズの、思わぬ落とし穴です。

koborebanashi_2017_01_237_04「どうしよう」と途方に暮れていると、たまたま船を見送りに来ていた現地在住の日本人夫妻が心配そうに声をかけてくれました。恥ずかしながら……と事情を話すと、なんとそのご夫婦は英語のつたない私の代わりに船会社に電話をかけて事情を説明し、飛行機を手配。さらに「出発までうちに泊まればいいよ」とご自宅に招待してくれたのです。

異国の地でのこの上ない親切は本当に心にしみました。おかげでなんとか無事にコペンハーゲンで船に戻りましたが、散々スケジュールを確認した船のスタッフに「日本人でも遅れるんだね」と笑われてしまいました。

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