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「世界の船旅」スタッフこぼれ話 - 2016年11月号


雑誌「クルーズ」に好評連載中の「世界の船旅」CRUISE誌上放映。
2016年9月27日発売の2016年11月号に掲載された内容をご紹介します。

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第238・241・243話 飛鳥Ⅱ
最新! 日本一周グランドクルーズ①②③
日本の自然と歴史を巡る旅

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日本最大客船「飛鳥Ⅱ」でめぐる日本一周の旅。網走、大船渡、金沢、那覇、岩国などを訪ね、各地の郷土芸能、味覚、絶景を堪能します。寄港地にちなんだ特別ディナーも。ぜいたくな日本一周クルーズを3回に分けて紹介します。

「天敵」


koborebanashi_2016_11_238_02取材中、急きょ最後の寄港地・岩国で船を下り、新幹線で東京に帰ることになりました。そのため、列車の発車時刻までに寄港地紹介の映像を撮影しなければならなくなりました。船側とも相談して選んだのは「白蛇神社」。岩国では白蛇は商売繁盛、開運の守神さまで、天然記念物です。その白蛇を祭った珍しい神社で、生態や伝承などを取材することにしました。

koborebanashi_2016_11_238_03ところが、客室に戻りカメラマンにロケ先を伝えた途端、彼は真っ赤になって怒りだしました。実はこのカメラマンは蛇が大の苦手だったのです。しかし今さら取り消すこともできず、そろって白蛇神社に向かうことに。いつもは率先して被写体に近づくカメラマンですが、今回ばかりは一番後ろからついてきて遠巻きにカメラを構えています。

koborebanashi_2016_11_238_04そのうちに神社の方が「撮影するなら白蛇を一匹檻から出しましょうか?」と言ってくれたのです。私は大喜び、カメラマンは顔面蒼白。神社裏の芝生の上に放した白蛇はおとなしくとぐろを巻いています。シャッターチャンス!と思ってカメラマンの方を見ると、カメラを付けた三脚が立っているだけで彼の姿は忽然と消えていました。そして20メートルほど離れた木の陰からこちらをうかがい、「テープも露出もセットしてあるからスイッチを押すだけでいいよ」と悲鳴にも似た声をかけてきました。私は笑いをこらえながら白蛇の姿を撮影したのでした。



第242話 MSCムジカ
北欧大自然クルーズ フィヨルドと山岳鉄道を巡る旅

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童話作家アンデルセンの生家やフィヨルドを間近に感じられるボートツアー、緑に囲まれた湖や勇壮な滝など、北欧の歴史と大自然を満喫。デンマーク、ノルウェーなど北欧バルト海の絶景をめぐるクルーズを紹介します。

「郷に入れば」


koborebanashi_2016_11_242_02言葉の分からない外国船で取材するときは、撮影のための行動が乗客たちに迷惑をかけていないか不安になることがあります。そういう時は「せめて格好がちゃんとしていれば失礼なやつとは思われない」と考えて、服装だけはTPOに合わせてきちっとしたものを持っていきます。今回のクルーズには日本人クルーが乗船していないと聞き、数日前に新調したタキシードを持ち、マナーブックを読み込んで取材に向かいました。

koborebanashi_2016_11_242_03出港して数日たった最初のフォーマルナイト。ここぞとばかりにタキシードを着込んでダイニングに出かけました。ところが、ダイニングにはタキシードはおろか、ブラックスーツの乗客も2割ほどしかいません。皆少しゆったりめのスーツやカジュアルジャケットを着ているのです。新調したタキシードを着ていったのは私だけ。「真面目だね」という声を耳にして逆に肩身が狭く感じました。

koborebanashi_2016_11_242_04そもそもこの船はカジュアルクラスのイタリア船。堅苦しさのない楽しい時間を過ごすのがイタリア式ですから、最初から心配しすぎだったのです。客室に戻る途中、窓に映った自分の姿があまりに場違いで恥ずかしくなり、タキシードはバッグにしまい込んでしまいました。

帰国後バッグを開けると、慌ててしまい込んだ新品のタキシードはしわだらけになっていました。郷に入れば郷に従え、という言葉を痛感したのでした。

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